
難民の人類学: タイ・ビルマ国境のカレンニー難民の移動と定住
久保忠行
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この本について
日々ニュースで「難民」という言葉を見るたびに、どこか遠い話として処理してしまう自分に後ろめたさがありました。名づけられたカテゴリーとしての難民と、本人たちが名乗る生の姿が一致しないという指摘に触れると、そのもやっとした感覚の正体が少しわかる気がします。 この本は、タイ・ビルマ国境のカレンニー難民を丹念に追いながら、キャンプという制度が人をどう扱うのか、そしてその中で人びとがどう動き、選び、ときに制度を書き換えていくのかを見せてくれます。管理社会としてのキャンプの構造が描かれる一方で、支援の受け皿となる組織を自分たちでつくり、政治勢力と距離をとりながら生活を維持する姿が浮かび上がります。脆弱と名づけられた人びとが、実際にはどのように状況へ応答しているのかが具体的に見えてきます。 自分の理解が「カテゴリーの表面」に止まっていたと気づかされる本でした。社会問題を扱うとき、当事者の主体性をどこまで想像できていたのかを問い直したい人に刺さると思います。
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