
10万個の子宮
村中 璃子
平凡社 / 2018-02-07
この本について
ニュースになるたびに「何を信じればいいんだろう」と立ち止まってしまうこと、ありませんか。専門家の言っていることも、当事者の声も、それぞれに切実で、でもどこか噛み合っていない。私もワクチンや健康の話題は特に、感情と事実のあいだで揺れてしまうタイプです。 『10万個の子宮』を読んで感じたのは、あの混乱の裏側には、単なる賛否では片づけられない、人の不安と社会の構造が複雑に絡まっていたということでした。接種後に不調を訴える少女たちの背景に「身体でしか助けを求められない状況」があったかもしれないという指摘に、私は思わず手が止まりました。正しさの議論の前に、まず「なぜこの子はこう振る舞うしかなかったのか」という視点が置かれているのが、この本の大きな特徴です。 そしてもうひとつ心に残ったのは、日本の政策判断がどれだけ感情に左右され、結果として誰の健康を守れなかったのかという事実が淡々と描かれているところ。著者はワクチンを持ち上げすぎず、逆に不調を訴える子を切り捨てることもしません。科学的な根拠と人の苦しみ、その両方を丁寧に拾おうとする姿勢が、読み手のこちら側にも「自分はどこで判断を止めていたんだろう」と考えさせてきます。 情報が多すぎて何が本当かわからなくなる人、誰かの痛みと科学的根拠のどちらも大切にしたい人には特に刺さる一冊だと思います。自分の判断軸をもう一段深くしたいときに、この本は静かに効いてきます。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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