
心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学
荷方 邦夫
実務教育出版 / 2014-06-10
この本について
仕事でデザインに関わっていると、「なぜか伝わらない」「自分ではいいと思ったのに、相手が動いてくれない」といったモヤモヤを抱えることが多いと思います。自分のセンスの問題なのか、説明の仕方なのか、そもそも何を基準に判断すればいいのか分からなくなるあの感じです。僕自身も、手を動かしているうちに「そもそもデザインって何なんだろう」と立ち止まってしまう瞬間があります。 この本を読んで印象に残ったのは、デザインを「物そのもの」ではなく、「人が受け取る情報」として扱っている視点でした。自分が何を“見せているつもりか”ではなく、相手がその人工物から“何を受け取っているか”に意識を切り替えるだけで、改善の方向が急に見えてくるんですよね。それから、効率や合理性だけでは説明できない“魅力”の部分を堂々と扱っているのも救いでした。現場ではつい数字で説明できるものを優先してしまいますが、人が動く理由は必ずしも経済合理性に沿っていない、という前提に戻してくれるのはありがたいところです。 使う側の情報処理を丁寧にたどる内容なので、「自分のアウトプットが相手にどう読まれているのか」を整理し直したい人にはかなりフィットすると思います。デザインを職業にしていなくても、提案資料やサービスづくりなど、人に何かを届ける仕事をしているなら、一度この視点を持つ価値はあります。自分の手応えと相手の反応のズレに悩んでいる人に、静かに効く本です。
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