
姑の遺品整理は、迷惑です
垣谷美雨
双葉社
この本について
家族のことって「近いようで遠い」まま時間だけが過ぎていくことがありますよね。特に義理の家族まわりは、深入りするほど気を遣うし、距離を置くと置いたで罪悪感が残る。いざ誰かが亡くなった時に、関係性の薄さや積み残した気持ちと急に向き合わされて、どう整理していいか分からなくなる人は多いと思います。 この本の抜粋にある「一緒に過ごした時間がとっても短いよね」という一言は、まさにその“後悔でも責めでもなく、ただ事実として響く痛み”なんですよね。垣谷さんの描く登場人物たちは、劇的な成長をするわけでもなく、立派な答えを持っているわけでもありません。ただ、遺品を前にしたときに、自分がどんな距離感で義母と接してきたかを否応なく思い知らされる。その現実の描き方が妙に生々しくて、読んでいるこちらの感情も揺れるんです。 読んでいて助かったのは、「関係が浅かった自分」を責める物語ではないところでした。むしろ、他人として出会い、無理に“家族らしさ”を演じ続けた結果のすれ違いを、そのまま描いている。遺品整理という作業を通して、主人公が少しずつ義母の輪郭を知り直していく流れは、自分の身にも置き換えやすく、心の整理のヒントにもなります。特に、身内のしがらみに疲れてしまった人や、義家族との“ちょうどいい距離”が分からなくなっている人には静かに効くと思います。 派手な感動ではなく、「人と人ってこんなものかもしれない」という現実の温度で描かれているので、無理に前向きな気持ちを押しつけられたくない時にも読みやすい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの100%が集中しています。
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