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少女を埋める (文春e-book)

少女を埋める (文春e-book)

桜庭 一樹

文藝春秋 / 2022-01-25

累計読者数3
平均ハイライト数 39件/人
推定読了時間 約3時間2分
star総合評価 58/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%

この本について

家に帰るたび、昔の距離感に巻き込まれてしまう感じってありませんか。大人になったはずなのに、いまだに「子どもとしての自分」が勝手に出てきて、正論でなんとか踏ん張るしかないときがある。頭では整理できても、心がそのスピードについてこなくて、しんどいまま残るあの感じです。 『少女を埋める』を読んでいて刺さったのは、著者がその「心が置いてけぼりになる瞬間」を丁寧にそのまま置いているところでした。無理に前向きな意味づけに走らず、わからないものをわからないまま棚に置いておく姿勢に、救われる人は多いと思います。実家の濃い人間関係に巻き込まれつつも、東京の友人たちの感覚に支えられながら少しずつ自分の足場を整えていく過程が、現実のゆっくりした変化に近いんですよね。 もうひとつ、この本の効き方として大きいのは、「正しさにしがみつく理由」まで描かれているところです。理屈が命綱になる瞬間と、その一方で共同体に溶ける“楽さ”に自分が惹かれてしまう瞬間。その両方が正直に描かれるからこそ、自分の混ざった感情をそのまま持っていていいと思える。親との距離、家族行事の役割、故郷と都市のコミュニティ…どれも単純じゃないからこそ、読み手の呼吸を奪わない温度で寄り添ってくれます。 家族との距離の取り方に悩む人、あるいは「正しさと感情のズレ」に疲れている人には、静かに効いてくる一冊だと思います。自分のペースで読んで大丈夫な本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

著者初の自伝的小説集。 因習的な故郷に、男性社会からのいわれなき侮蔑に、メディアの暴力に苦しめられた時に、 「わたし」はいつも正論を命綱に生き延びてきた—— 7年ぶりに声を聞く母からの電話で父の危篤を知らされた小説家の「わたし」は、最期を看取るために、コロナ禍の鳥取に帰省する。 なぜ、わたしの家族は解体したのだろうか? 長年のわだかまりを抱えながら母を支えて父を弔う日々を通じて、わたしは母と父のあいだに確実にあった愛情に初めて気づく。 しかし、故郷には長くは留まれない。そう、ここは「りこうに生まれてしまった」少女にとっては、複雑で難しい、因習的な不文律に縛られた土地だ。 何度埋められても、理屈と正論を命綱になんとかして穴から這い上がった少女は東京に逃れ、そこで小説家になったのだ。 「文學界」掲載時から話題を呼んだ自伝的小説「少女を埋める」と、 発表後の激動の日々を描いた続篇「キメラ」、書き下ろし「夏の終わり」の3篇を収録。 近しい人間の死を経験したことのあるすべての読者の心にそっと語りかけると同時に、 「出ていけ、もしくは従え」と迫る理不尽な共同体に抗う「少女」たちに切実に寄り添う、希望の書。
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