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私の男 (文春文庫)

私の男 (文春文庫)

桜庭 一樹

文藝春秋 / 2010-04-10

累計読者数5
平均ハイライト数 3.4件/人
推定読了時間 約4時間42分
star総合評価 38/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 31%

この本について

大人になると、自分の“普通”や“幸せ”の感覚がよくわからなくなる時があります。安定していれば生きていけるはずなのに、心の奥では何かが欠けている気がしたり、どこか自分だけが壊れているように思えたり。周りの穏やかさにうまく馴染めず、「私はどこから歪んだんだろう」とふと立ち止まってしまうあの感じです。 『私の男』の抜粋が刺さった人は、おそらく“自分の感情の暗がり”に触れる描写に心を掴まれているはずです。自分を大切にする感覚が持てないこと。安定した他人の生き方に眩しさと苛立ちを同時に抱えてしまうこと。誰かとの関係がどれだけ異常でも、そこにしか生きる体温を感じられない瞬間があること。そういう複雑さを、この作品は綺麗事にせず、そのままの形で描いてくれます。自分でも説明できない感情に輪郭がつくような読書体験でした。 読んでいると、花の“汚れている自分”への自覚や、相手との依存の絡まり方が、思いがけず自分の日常に重なります。誰かに触れられた時のざらつく違和感や、少しの優しさが毒にも救いにもなる感覚。「ここが自分の弱さなんだ」と俯瞰できるわけではないけれど、何かを理解したような静かな傷みだけが残る。その温度が、この本を読む理由になると思っています。 “自分の心の闇を見ないふりしてきた人”には、とくに静かに響きます。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

私は腐野花(くさりの・はな)。着慣れない安いスーツを身に纏ってもどこか優雅で惨めで、落ちぶれた貴族のようなこの男の名は淳悟(じゅんご)。私の男、そして私の養父だ。突然、孤児となった十歳の私を、二十五歳の淳悟が引き取り、海のみえる小さな街で私たちは親子となった。物語は、アルバムを逆からめくるように、花の結婚から二人の過去へと遡ってゆく。空虚を抱え、愛に飢えた親子が冒した禁忌、許されない愛と性の日々を、圧倒的な筆力で描く直木賞受賞作。
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