
ある男
平野啓一郎
コルク / 2018-09-28
累計読者数11
平均ハイライト数 12.2件/人
推定読了時間 約4時間32分
star総合評価 50/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 18%
この本について
誰かの過去や肩書きに振り回されてしまう時ってありますよね。人を理解したいのに、どこまで踏み込んでいいのか分からなかったり、逆に自分自身の「何者なのか」に疲れてしまったり。過去の選択や環境のせいにしたくなる一方で、「全部自己責任じゃないのに…」というやるせなさも静かに残る。そういうモヤモヤを抱えているときに、『ある男』はじわっと効いてきます。 この物語が刺さるのは、人物を「ひとつの正しさ」で説明しようとしないところです。愛情だって変化し続けるし、誰かを理解するという行為も、本当は何度もやり直すものだと示してくれる。それに、死者や過去は沈黙したままなのに、こちらから呼びかけることでようやく輪郭が浮かび上がるような描写が多くて、自分の中の喪失に向き合うきっかけにもなりました。あと、人格が遺伝と環境の相互作用だという視点も、「人はそんなに単純に裁けないよな」と落ち着かせてくれます。 誰かの「過去」に怯えたり、自分の「正体」を言い当てられそうで不安になったりする人には、とても静かに寄り添ってくれる本だと思います。読んだからといって劇的に救われるわけではないけれど、登場人物が自分の痛みを抱えながらも、少しずつ世界との距離を調整していく姿に、自分ももう少しだけ前に進めそうだと思えました。こういう温度感が必要な時に開きたくなる一冊です。
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出版社による紹介
【読売文学賞受賞】 【6月1日 英訳 “A MAN” 発売】 愛したはずの夫は、まったくの別人であった。 「マチネの終わりに」から2年。平野啓一郎の新たなる代表作! 弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。 宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。 里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。 人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。 「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。 人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。
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