
カーテン (クリスティー文庫)
アガサ ・クリスティー, 田口 俊樹, and 田口 俊樹
早川書房 / 2011-10-01
この本について
人を見ていて、「この人の本性ってどこにあるんだろう」とわからなくなる瞬間ってありますよね。表向きは善良そうでも、心の奥までは読めない。そのせいで距離感をつかみ損ねたり、妙な不安だけ残ったりします。私も何度かそんな経験があって、けっきょく「人を見るって、こんなに難しいのか」としょんぼりすることがあります。 そんなときに読んだ『カーテン』は、ただのミステリ以上に“視点を揺さぶられる本”でした。今回拾われていた抜粋を見ても、読者の方は「犯人は誰か」よりも「人の中に潜む何かの見えにくさ」に反応している気がします。スタイルズ荘に集まった人たちは、表面上はみんないい人。でも、その中の誰かが殺人を起こすかもしれない。犯行の動機すら見えてこない。犯人像が輪郭を持たないまま進むので、自分の“人を見る癖”まで揺らいできます。 この本が効くのは、まず「表面的な印象だけでは判断できない」という当たり前が、いやな説教ではなく物語を通して自然に染みてくるところ。そして、作中で語られる“殺人を未然に防ぐにはどうするか”という議論が、現実の私たちにもそのまま置き換わるところ。誰かを完全に信じることも、完全に疑うこともできない状況で、どう距離をとるか。ポアロの言葉がそのまま人生の難題に刺さってくる瞬間があります。 「人の本性を簡単に決めつけたくない人」に、とても静かに響く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの74%が集中しています。
読書の順序
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