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押絵と旅する男

押絵と旅する男

江戸川 乱歩

リットーミュージック / 2017-12-13

累計読者数4
平均ハイライト数 12件/人
推定読了時間 約1時間22分
star総合評価 52/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 35%

この本について

ふだん生きていると、「あれ、今のって本当に現実だったのか?」みたいに、感覚がふっとズレる瞬間がありませんか。忙しさに飲まれている時ほど、世界の輪郭が曖昧になって、自分がどこに立っているのかよく分からなくなるあの感じです。僕もそういう時に限って、説明のつかない不安がじわっと湧いてきます。 『押絵と旅する男』を読み返すと、そのモヤモヤに少しだけ風が通るような感覚があります。読者の方が保存していた一文には、“この世の視野の外にある、別の世界の一隅を隙見したのかもしれない”という表現がありましたが、まさにそこがこの作品の核心で、現実と非現実の境目がゆるむ瞬間が、とても静かに描かれています。自分の感覚の揺れそのものを「おかしなもの」と決めつけず、ひとつの可能性として扱ってくれる感じがあって、読んでいる側の呼吸もゆっくり整っていくんですよね。 もうひとつ、この作品は“見えているものがすべてとは限らない”という当たり前だけど忘れがちな視点を思い出させてくれます。極彩色の押絵、凌雲閣の賑わい、繻子の布がしなだれる手触り——細かい情景の積み重ねが、普段の生活では意識の外に追いやっていた感覚を呼び戻してくれる。仕事で選択が煮詰まっている時ほど、こういう「別の世界への入り口」に触れると、凝り固まった思考が少しだけほぐれます。 刺さるのは、「現実の手触りが薄くなってきたと感じる時がある人」。怪談でもミステリーでもなく、境界のゆらぎそのものを味わわせてくれる短編です。読み終わった後、自分の世界の奥行きがほんの少しだけ増えたような、不思議な余韻が残ります。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

「あれらは、生きて居りましたろう」蜃気楼を見に行った帰り、私は汽車のなかで押絵を持った男と出会った...。江戸川乱歩の『押絵と旅する男』が、『刀剣乱舞』のキャラクターデザインなどで知られ、pixivフォロワー21万人越えを誇るイラストレーターしきみによって、鮮やかに現代リミックス。
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