
上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫)
高殿円
小学館 / 2019-07-10
この本について
仕事で気をつかってばかりで、自分の「振る舞い」がこれで合っているのかよく分からないまま毎日が進んでいく。丁寧にやりたい気持ちはあるのに、空回りしたり、逆に出しゃばったように見えないか不安になったり。そんなときに、この物語の中の言葉が妙に現実に寄り添ってくれました。 外商という、徹底的に人と向き合う仕事が舞台だからこそ、「教養とは振る舞い」「心を込めるには順番がある」「値札のつかない人間としての価値」というフレーズがきれいごとじゃなく響いてきます。単に気持ちを込めればいいわけじゃなくて、まず揃えるべき所作や観察、相手の欲しい量を正しく読むこと。それを淡々と積み重ねることでしか辿り着けない世界があるんだと、読んでいて背筋が伸びる感じがしました。 そしてもうひとつ、この本が面白いのは、人間関係の距離感に迷ったときのヒントにもなるところです。恋愛を含め、人の魅力って何なのか、どうやって伝わるのか。主人公たちの立ち振る舞いを追っているうちに、結局はコミュニケーションの質に行き着くんだよなとじわじわ理解できてきます。出過ぎず、出しゃばらず、でも成果は出すという難しさも、物語の中の失敗や葛藤ごと描かれているのがありがたいところです。 「ちゃんとしたいのに、どう振る舞えばいいか分からない」と感じている人には、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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