
この本について
日々ニュースを見ていると、「なんとなく今の社会ってこういうものなんだよな」と思い込みながら、生きづらさの理由を深く考える前に流してしまうことがあると思います。自分が本気で望んでいない価値観を、気づけば「仕方ない」と受け入れてしまっている感じ。僕自身もそうで、どこから違和感が来るのか言葉にできないまま働いたり生きたりしてきました。 『資本主義に出口はあるか』は、その“なんとなくの前提”をいったん外に置く作業を手伝ってくれます。たとえば、「この社会=社会ではない」と断言するところ。自由や平等の意味がロックとルソーでまったく違うこと、そして僕らの民主主義がどちらの延長にあるのかを丁寧に示されると、普段当然と思っている制度や言葉の輪郭が急に立ち上がってきます。また、デリバティブや市場の“期待”の話に触れながら、僕らが何に騙され、何を“事実”と呼んでいるのかが静かに揺さぶられます。哲学の抽象論ではなく、いま目の前の社会の成り立ちを別角度から見せてくれる感じです。 「自分の感じている息苦しさに、ちゃんと名前をつけたい人」に刺さる本だと思います。社会批判というより、自分の前提の点検に近い読書でした。
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