
烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ1 (文春文庫)
阿部 智里
文藝春秋 / 2014-06-10
この本について
人と関わるとき、相手の本心がどこにあるのか分からなくてモヤモヤすることってありませんか。丁寧に距離を取ろうとしているのに、気づけば相手の一言で足元をすくわれるような感覚になるというか。私もよくあります。分かり合えそうで分かり合えない、その微妙なずれに振り回される日って意外と多いですよね。 今回の抜粋の「玄人裸足」だったり、「大丈夫ですわ、しっかり立って」といった場面に、読者が反応しているのはまさにその“人間関係の揺らぎ”だと思うんです。このシリーズ、幻想的な世界の物語ではあるんですが、人と人の間に流れる気配が妙にリアルで、思わず自分の生活に引き寄せて読んでしまいます。特に、言葉の裏にある感情の綾や、相手の立場によって印象がガラッと変わる空気感が丁寧に描かれていて、現実世界での対人関係を振り返るきっかけになるところが多いです。 それに、キャラクターたちが互いに誤解したり、譲れないものを抱えたままぶつかったりする姿を見ると、「ああ、人間(正確には八咫烏だけど)ってこんなふうにすれ違うよな」と妙に安心します。自分だけが不器用なんじゃない、と肩の力が抜ける感じがあるんですよね。だからこそ、物語を読み進めるうちに、他人の言動を単純な“善悪”ではなく、背景ごと受け取る視点が自然に身についてきます。 人間関係の空気に敏感で、つい相手の一言を深読みしがちな人には、特に刺さると思います。シリーズの第一巻ですが、世界観より先に「登場人物の心の温度差」に惹かれるタイプの人なら、きっとこの物語の呼吸が心地よく感じられるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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