
天声人語 2020年1月-6月
朝日新聞論説委員室
株式会社朝日新聞出版 / 2020-09-07
この本について
最近、ちょっとした気持ちを言葉にできずに飲み込んでしまうことが増えたな…と思うことはありませんか。面と向かって言うのは照れるし、SNSで書くには浅く見えそうでためらう。そんな“行き場のない気持ち”を抱えたまま、日々だけが進んでいく感じ、僕もよくあります。 『天声人語 2020年1-6月』を読んでいて刺さったのは、まさにその「言葉の居場所」をめぐる人々の姿でした。バレンタインの手紙企画で、母にぶっきらぼうな息子がようやく「ありがとう」を伝えていたり、闘病中の夫婦が不器用な文字で互いを思いやっていたり、5歳の子どもが“ちょっとだけだっこしてね”と書く。そのどれもが、うまく言えない気持ちを、紙という遠回りな手段に託している。読んでいると、自分にも同じように言えずに抱えてきた言葉があることを思い出します。 そしてもう一つ、SNSの誹謗中傷に触れた一節も強く残りました。画面に向かう自分の指が、誰かを追い詰めてしまわないか。これは仕事で発信する時だけでなく、日常のちょっとしたコメントにも当てはまる話で、読みながら背筋が伸びました。距離を保つことが求められたあの時期の記述も、今読むと、自分の人との向き合い方を静かに振り返らせてくれます。 誰かに言いたいのに言えない気持ちが、心のどこかにたまっている人に向いています。文章そのものより、人の心の“奥”に触れたい人には特にしっくりくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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