
獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち (イースト新書)
田中淳夫
イースト・プレス / 2020-10-10
この本について
野生動物のニュースを見るたびに、「結局どこから手をつければいいのか…」とぼんやりしたまま終わってしまうことが多いんですよね。ハンター不足が原因と言われればそう聞こえるし、ジビエが流行れば何か良くなる気もする。でも実態はよくわからないまま、モヤモヤだけが残る。自分もずっとそんな感じでした。 この本を読むと、そのモヤモヤがだいぶほどけます。まず驚いたのは、「ハンターが減ったから獣害が増えた」という説明では数字が合わないという指摘。むしろハンターが減った時期に駆除数は急増していて、単純化された語りでは状況を説明できないとわかります。さらに、野生動物が増えた背景には、戦後の森林回復による餌の増加があり、個体数と被害量も必ずしも比例しないという描写が刺さりました。課題の正体を整理しないまま議論しても空回りするだけなんだな、と腹落ちします。 もう一つ印象に残るのは、ジビエを推せば駆除が進む、といった“希望的なつなぎ方”がまったく成立していない現実です。肉として販売できる量の少なさ、捕獲方法で肉質が大きく変わること、季節のズレ…。読むほどに「そりゃビジネスとして難しいよな」と納得し、同時に“現実的に何を変えればいいのか”の方向性が見えてきます。 野生動物や獣害の話題に触れるたび、論点が散らかっている感じがする人に向いている本です。複雑なテーマなのに、読み終えると「まずどこを見ればいいか」が静かに整っていきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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