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山と獣と肉と皮

山と獣と肉と皮

繁延あづさ

亜紀書房 / 2020-09-25

累計読者数3
平均ハイライト数 10件/人
推定読了時間 約3時間22分
star総合評価 53/100
menu_book精読型
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この本について

日常の中で、ふと「生き物を食べて生きているってどういうことなんだろう」と立ち止まる瞬間がありませんか。スーパーでパック詰めの肉を買いながらも、その向こう側を考えるとモヤッとする。でも深追いするのも怖くて、見て見ぬふりをしてきた、みたいな感覚です。僕もずっとその辺が整理できずにいました。 『山と獣と肉と皮』は、そのモヤモヤにいきなり答えを出す本ではありません。むしろ、著者が山で獣と向き合いながら、命の実感に揺さぶられていく“過程”が淡々と書かれていて、その揺らぎに自分の感覚が呼び起こされます。たとえば、獣が息絶える場面で「命はこの肉体だけに宿っている」という気づきに矛盾を覚えたり、肉を見た瞬間に“おいしそう”と思ってしまう自分が出てきたり、人間の身体も胎内でいっとき獣になるという事実に妙な納得を覚えたり。頭より先に、体の側が反応してしまう感じです。 読んでいると、「食べるって、きれいごとじゃない」「でも、だからこそ明日も生きるために食べる」という、当たり前だけど普段は遠ざけている実感が、強制じゃなく静かに戻ってきます。そして、教科書で学んだ単純な食物連鎖とは違う、生き物同士の関わりの複雑さを前にすると、自分が立っている場所の常識もぐらつきます。人間どうしが言葉でペチャクチャ交流する世界が、むしろ“特殊”に見えてくるような感覚まで出てくる。 自分の「食べて生きている」という現実を、少し正面から受け止めたい人に刺さる本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

「かわいそう」と「おいしそう」の境界線はどこにあるのか? 山に入るたび、死と再生のダイナミズムに言葉を失いつつも、殺された獣を丹念に料理して、一家で食べてきた日々——。 獣を殺す/料理する/食べる。 そこに生まれる問いの、なんと強靭にして、しなやかであることよ。 いのちをめぐる思索の書。 母として、写真家をして、冒険者として。 死、出産、肉と皮革を、穢れから解き放つために。——赤坂憲雄氏、推薦! 【目次】 はじめに 序章 獣の解体と共食 第1章 おじさんと罠猟 第2章 野生肉を料理する 第3章 謎のケモノ使い 第4章 皮と革をめぐる旅 おわりに
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