
山と獣と肉と皮
繁延あづさ
亜紀書房 / 2020-09-25
この本について
日常の中で、ふと「生き物を食べて生きているってどういうことなんだろう」と立ち止まる瞬間がありませんか。スーパーでパック詰めの肉を買いながらも、その向こう側を考えるとモヤッとする。でも深追いするのも怖くて、見て見ぬふりをしてきた、みたいな感覚です。僕もずっとその辺が整理できずにいました。 『山と獣と肉と皮』は、そのモヤモヤにいきなり答えを出す本ではありません。むしろ、著者が山で獣と向き合いながら、命の実感に揺さぶられていく“過程”が淡々と書かれていて、その揺らぎに自分の感覚が呼び起こされます。たとえば、獣が息絶える場面で「命はこの肉体だけに宿っている」という気づきに矛盾を覚えたり、肉を見た瞬間に“おいしそう”と思ってしまう自分が出てきたり、人間の身体も胎内でいっとき獣になるという事実に妙な納得を覚えたり。頭より先に、体の側が反応してしまう感じです。 読んでいると、「食べるって、きれいごとじゃない」「でも、だからこそ明日も生きるために食べる」という、当たり前だけど普段は遠ざけている実感が、強制じゃなく静かに戻ってきます。そして、教科書で学んだ単純な食物連鎖とは違う、生き物同士の関わりの複雑さを前にすると、自分が立っている場所の常識もぐらつきます。人間どうしが言葉でペチャクチャ交流する世界が、むしろ“特殊”に見えてくるような感覚まで出てくる。 自分の「食べて生きている」という現実を、少し正面から受け止めたい人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要




