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1Q84―BOOK2〈7月-9月〉後編―(新潮文庫)

1Q84―BOOK2〈7月-9月〉後編―(新潮文庫)

村上春樹

累計読者数3
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star総合評価 51/100
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この本について

ふと、自分の世界の“輪郭”がよくわからなくなるときがあります。正しいとか間違っているとか、善とか悪とか、言葉では説明しきれないものに振り回されて、どこに立っているのか見失いそうになる。そんなときに限って、誰かの言葉も耳に入ってこなかったりします。 『1Q84 BOOK2〈後編〉』を読んであらためて感じたのは、世界の形って「はっきり説明できないもの」の集合体なんだろう、ということです。抜粋にもありますが、善と悪の均衡だったり、光と影の関係だったり、こちら側からはウイルスに見えるものが、向こう側から見れば抗体かもしれないという鏡合わせの構造だったり。村上春樹の世界観は、こうした境界のあいまいさを、物語の形で静かに見せてくれます。二つの月が浮かぶシーンや、リトル・ピープルの正体が判然としない感じは、その「曖昧さにどう向き合うか」を読者に返してくるようでした。 もうひとつ印象的なのは、“言葉そのものの物理的な力”に触れている点です。明るい言葉は、意味が理解される以前に鼓膜を明るく震わせる、というくだり。ここは、気持ちが沈んでいる日でも、誰かの声や言葉に救われた経験のある人なら、きっと共感すると思います。説明できないけれど確かに存在する作用。それを物語の中でそっと提示してくれるのが、この本の効き方だと感じました。 現実が少し歪んで見えるとき、あるいは「善悪や正しさの線引きを自分で決めきれない」と感じている人には、特に刺さると思います。物語の中で揺れている登場人物の迷いが、そのまま自分の迷いにも響いてきて、読み終えたときには、世界の見え方が少しだけ柔らかくなっていました。

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