
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫)
フィリパ ピアス、高杉 一郎
岩波書店 / 2000-06-16
この本について
忙しさに追われていると、ふと「時間がどこかに消えていったような感覚」になることがあります。大人になるほど、昨日と今日の境目があいまいで、自分の気持ちに気づく前に一日が終わってしまう。そんなとき、子どもの頃に持っていたはずの“時間の伸び縮み”みたいな感覚を、もう一度つかめたらいいのにと思うことがあります。 『トムは真夜中の庭で』を読んでいて、読者の方が保存していた「トンネルをくぐる」「もう十日しか庭に出られない」といった場面からは、まさに“時間の境目に立っている感覚”に反応しているんじゃないかと感じました。先が見えない不安の中でも、何かに触れた瞬間だけ世界が開けるあの感じ。トムが病気を口実にしながらも、どうにかして庭に向かおうとする場面には、「今の自分もこんなふうに、理由を探しながら大事なものに向かっているのかもしれない」というリアルさがあります。 この物語が効くのは、過去に戻りたいとか現実逃避をしたいからではなくて、日々の単調さの中で失われがちな“自分の感覚”を取り戻すヒントが散らばっているからだと思っています。たとえば、同じ場所を歩いているはずなのに、時間帯や気持ち次第で全く違う景色に見えること。あるいは、あと何日、と期限が切られることで、逆に一瞬一瞬の濃度が上がること。そういう小さな変化に気づけると、日常の見通しが少しだけ変わります。 日々の時間が「ただ過ぎていく感じ」に疲れてしまった人に刺さります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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