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氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

尾脇秀和

累計読者数3
平均ハイライト数 31.3件/人
推定読了時間 約6時間29分
star総合評価 74/100
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この本について

自分の名前って、当たり前すぎて深く考えないまま使っていますよね。戸籍や書類で当然のように「氏」と「名」を書かされるけれど、そもそもこれっていつから“必須”になったんだろう、とふと立ち止まることがあります。夫婦同姓・別姓みたいな話題を見ても、どこかモヤっとしたまま「まあ今のルールがそうだから」と流してしまう。そういう小さな引っかかりをそのままにしてきた人ほど、この本がスッと効きます。 読んで一番驚いたのは、「江戸時代には“姓名は人の名ではない”」という事実でした。庶民は通称だけで一生を過ごすのが普通で、苗字も実名も“設定はあるけれど、使わないのが当たり前”。じゃあ今みたいな氏名のかたちがどう生まれたのかというと、そこには明治政府の徴兵事務の都合や、公家社会の名前の書き方の崩壊など、かなり現実的な事情が積み重なっています。名前をめぐる秩序が、理想でも文化の伝統でもなく、「そうするのが習慣だったから」「役所が必要としたから」という理由で動いていた過程が、とても生々しく描かれます。 そしてもうひとつ面白いのは、過去の人名に“正しいかたち”なんてなかったという視点です。江戸の村社会では差別こそ秩序の前提で、同じ名前を継ぐのも地位を示すため。いまの感覚から見ると違和感しかないのに、当時の人にとってはそれが常識だった。この距離感を知るだけで、現代の「名前の正しさ」や「家族のかたち」をめぐる議論が少し軽くなる気がしました。 歴史の専門知識がなくても読めますが、「自分の名前やアイデンティティの“根っこ”がどうできたのか気になっている人」に特に刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

明治政府が行った改革が、江戸時代の名前の常識を破壊し大混乱を巻き起こす―。気鋭の研究者が近世・近代移行期の実像を活写する。
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