
射手座の香る夏 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作
松樹 凛
累計読者数4
平均ハイライト数 14件/人
star総合評価 61/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 63%
この本について
仕事でも日常でも、何かを選ぶたびに「本当にこれで良かったのか」と後からじわっと重くなる瞬間がありませんか。別の可能性を思い浮かべてしまって、今の自分の位置がふっと揺らぐようなあの感じです。僕もよくそこで足が止まってしまうのですが、この短編集を読んでいると、その揺らぎそのものに意味があるのかもしれないと思わされました。 抜粋にもあるように、この本は意識の転送や残像の世界、家族の痛みなど、生々しいテーマを真正面から扱うのに、どこか香りのように余韻を残してくるところがあります。例えば意識はコピーできず、転送すれば元の自分は欠落体になるという設定は、選択のたびに過去の自分を捨て続けている僕らの現実と少し重なりますし、苦しみを分け合う人が家族だという一文は、きれいごとじゃなく誰かと生きる実感を突いてきます。さらに、野生の羆や石壁の煙のような情景が、決断の裏側にあるざらつきを静かに照らしてくれる感じがあるんですよね。 物語としてはSFですが、読んでみると自分の時間や選択の感触が変わるタイプの本です。人生の岐路で「どっちに進んでも何かを失う」と感じてしまう人には、特にじわっと届くと思います。
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