
風になるにはまだ-Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作
笹原 千波
累計読者数3
平均ハイライト数 41件/人
star総合評価 69/100
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この本について
最近、うまく言葉にできないまま気持ちだけが先に立ってしまうことが増えていませんか。頭の中では確かに動いているのに、いざ表に出そうとすると霧みたいに形が崩れていく感じ。自分でも扱いきれない感覚が、身体なのか心なのかよく分からないまま溜まっていくようなあのモヤモヤです。 『風になるにはまだ』を読んでいて強く思ったのは、作者が「身体の記憶」と「言葉にすること」の距離をとても丁寧に描いているということでした。ふくらはぎが揺れる瞬間や紙が切れる音、古い記憶のぬくもり……抜粋にも出てくる細かな描写は、読者自身のどこかに眠っている感覚をそっと呼び起こします。しかもそれが、ただノスタルジックなだけでなく、今の自分の輪郭を確かめ直すきっかけになる。言葉にしなければ辿り着けない場所があるけれど、言葉だけでは届かない領域もある。その両方を抱えたまま進む感覚が、この作品にはちゃんと残されています。 もうひとつ、この短編の強みは「寄る辺」をどうつくるかを焦らずに描いているところだと思います。技術が人のこころを情報にしてしまう世界で、なお誰かに触れたい、祈るようにメッセージを送り出したいという衝動がある。その姿がすごく等身大で、現実の私たちの不器用さと地続きなんですよね。 自分の感覚を言葉にしきれないまま日々を過ごしている人に、そっと刺さる一冊だと思います。
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多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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