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許されようとは思いません(新潮文庫)

許されようとは思いません(新潮文庫)

芦沢央

新潮社 / 2019-06-01

累計読者数3
平均ハイライト数 22件/人
推定読了時間 約3時間25分
star総合評価 66/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 57%

この本について

人と関わっていると、相手の「沈黙」や「間」が妙に胸に残ることがあります。怒っているのか、失望されたのか、自分が勝手に怯えているだけなのか。その曖昧さに振り回されてしまう瞬間って、誰しもありますよね。僕もそうで、あとになって「あの時の顔、どういう意味だったんだろう」と考え続けてしまうタイプです。 芦沢央さんの『許されようとは思いません』は、まさにその“胸のざわつき”を形にしたような短編集でした。読者の方が保存していた抜粋には、息が詰まるような気配や、言いかけた言葉の重さ、誰かの視線を意識して一歩が出なくなる瞬間がたくさんあります。読みながら、自分が抱えている小さな後ろめたさや、言葉にできない不安にそっと触れられるような感覚がありました。 特に効いたのは、登場人物たちが「正しさ」ではなく「その場どうしようもなかった感情」によって動いてしまう描写です。理屈では説明できないけれど、あのとき心臓が跳ねてしまった、とか、声が尖ってしまった、とか、そういうリアルさに自分の経験が引き寄せられる。そして、そのズレや違和感が物語の中で少しずつ輪郭を持っていくと、自分の曖昧な感情まで整理されていくような気がしました。 感情の揺れを「なかったこと」にせず、そのまま見つめてみたい人に刺さる本だと思います。読後にスッキリするというより、見落としてきた小さな痛みに名前をつけてもらえるような一冊でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた――。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。(解説・池上冬樹)
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