
移民時代の異国飯 (星海社 e-SHINSHO)
山谷剛史、小林銅蟲
講談社 (発売) / 2022-04
この本について
日々の生活がワンパターンになってきて、「どこかに行きたいけど遠出する気力まではないな…」という時期が自分にもあります。刺激がほしいのに、観光地や話題の店に行っても“用意された安心感”ばかりで、結局いつもと変わらない。そんなモヤモヤのときに読んで救われたのが、この『移民時代の異国飯』でした。 この本は、いわゆる“異国情緒”ではなく、異国の人たちが生活のために営んでいるリアルな店にぐっと踏み込んでいきます。例えば、平井の胡建小吃の「場末感も含めて中国本国と同じ」という描写は、単なるグルメ紹介ではなく、街の背景ごと味わう視点をくれました。また、錦糸町から小岩へ向かうほど“残念になっていく”と言われつつ、実はそこに本気の店が集まっているという話は、普段見過ごしていた景色の裏側を知るきっかけになります。池袋チャイナタウンが新華僑向けの商圏で成り立っているという説明も、「外国感」ではなく「生活圏」として街を見る感覚を育ててくれました。 読んでいて感じたのは、これは旅ガイドでもグルメ本でもなく、「日本の中にある他者の生活への入口」だということです。店の探し方や注文の仕方まで踏み込んで書かれているので、読み終えたあと実際に足を運ぶハードルがぐっと下がります。観光では味わえない“その国の普通の一日”に触れたい人には特に刺さるはずです。 遠くへ行けなくても、近所の駅を一つ越えるだけで世界が少し広がる。その視点をさりげなくくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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