
ほどなく、お別れです (小学館文庫)
長月天音
小学館 / 2023-10-19
この本について
誰かを失ったわけじゃなくても、ふと「もし急に大切な人がいなくなったら、自分は耐えられるんだろうか」と考えてしまうことがあります。過去の後悔が急に思い出されたり、言えなかったひと言が心に残っていたり。こういう気持ちって、日常の中でふわっと浮かんでは消えるのに、正面から触れにくいんですよね。 『ほどなく、お別れです』は、そんな“触れにくい部分”に手を伸ばしてくれる物語でした。読者が保存していた抜粋を見ると、響いているのは「うまく区切れない気持ちへの寄り添い」や「言葉にできない後悔への理解」なんだと思います。葬儀という場が、亡くなった人のためというより、残された側が少しずつ納得していくための時間だと気づかされる瞬間が何度もあって、自分の中の見えない感情の置き場がひとつ増えるような感覚があります。誰かに語ることが供養になる、という言葉も、日常の悩みの延長線にすっと馴染みました。 物語としてはしんみりしているのに、不思議と読み終わると「自分にもまだ続きがある」と思える。本の中の言葉が、遺族にかけられるようにそっと背中を押してくれるからだと思います。大げさに人生が変わるわけじゃないけれど、心のどこかのつっかえが静かにほどける。そのくらいの距離感がちょうどいいんです。 大切な人との関係に、言えなかったことが残っている人。あるいは、誰かの“気持ちの区切り”に寄り添う立場にいる人。そんな方には、特にしみる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの81%が集中しています。
読書の順序
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