
カタルーニャ語小さなことば僕の人生
田澤耕
左右社 / 20220627
この本について
仕事に追われていると、せっかく本を読んでも、自分の中で言葉がなかなか結びつかない時があります。頭には残っているはずなのに、いざ話そうとすると出てこなかったり、読み終えたはずなのに何も変わっていない気がしたり。そんなモヤモヤを抱えている人は多いと思います。 『カタルーニャ語小さなことば僕の人生』を読んでいて印象的なのは、著者が「知的生活」に憧れた若い頃の手触りが、そのまま丁寧に残っているところでした。本屋で偶然『知的生活の方法』を手に取る場面もそうですが、知識を積み上げようとしているというより、言葉に引っ張られて世界が勝手に広がっていくような感覚が描かれています。車のカーブを自然に曲がるように、ことば同士が勝手につながりはじめる瞬間があるという話には、読書を続けてきた人ほど共感するものがあるはずです。 そして、この本が quietly 効いてくるのは、「名作を知ること」よりも、「誰かがどうやって言葉と親しくなってきたか」の過程が、細部まで見えるところです。たとえば『ダイヤモンド広場』を語るときの距離の取り方は、作品を神棚に上げるのでもなく、過度に理屈で解体するのでもない。自分の人生のスピードに合わせて読むとは、こういうことかもしれません。 読みながら、自分自身の読書の原点や、なぜ本を手に取ってきたのかを静かに思い出させられます。知識を増やすことより、「ことばと仲良くなる感覚」を取り戻したい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの75%が集中しています。
読書の順序
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