
作家たちの17歳 (岩波ジュニア新書)
千葉 俊二
岩波書店 / 2022-04-20
この本について
最近、「自分の原点ってどこにあったんだっけ」とふと立ち止まる瞬間がありました。今の選択が正しいのか確信が持てないまま、毎日少しずつズレていく感じ。読者の方が保存していた「筐底」や「気象の初期値鋭敏性」という言葉を見て、その感覚に近いものを抱えているのかなと思いました。小さな揺らぎや環境の違いが、その後の人生を大きく変えていく。そういう“初期値”に対する不安って、誰の中にもありますよね。 『作家たちの17歳』は、そんなモヤモヤに直接答えをくれる本ではありません。ただ、作家たちが17歳のときに見ていた世界や、その時期に抱えていた小さな痛みや迷いが、その後の創作や生き方にどうつながっていったのかを淡々と描いています。読みながら、「ああ、あの時期の自分の些細な選択も、実は後につながっていたのかもしれない」と自然に視点が変わっていきます。筐底のように暗がりに見える経験も、思い返すとそこに種が落ちていた、そんな感触があります。 特に効いたのは、作家たちが17歳の時点ではまだ“何者でもなかった”という当たり前の事実です。完成形ではないまま揺れ続けていた時間が、そのまま後の作品の源になっている。決定的な一歩が常に必要なわけじゃなくて、初期値の誤差みたいなものがむしろ味になっていく、そんな受け止め方を静かに教えてくれます。 今の迷いが「ただの寄り道じゃない」と思いたい人に向いている本です。自分の17歳にもう一度光を当て直したいとき、そっと手元に置いておくといいかもしれません。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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