
現代思想2022年11月号=ヤングケアラー——家族主義的福祉・貧困の連鎖・子どもの権利…
村上靖彦、澁谷智子、朝田健太、信田さよ子、鷲谷花
この本について
家族のことで手一杯なのに、周りにはうまく説明できず、自分だけが取り残されているような感覚になることってありませんか。特に誰かの世話を担ってきた経験があると、「あれは何だったんだろう」と大人になってから急に胸がざわつくことがあります。逃げたわけでも、立派にやれたわけでもない。ただ、その場を必死に回してきた自分だけが残るような感覚です。 この号の中で印象的なのは、著者がヤングケアラーというテーマに向き合うまでの具体的な出会いが淡々と語られているところです。介護を理由に進路を変えざるを得なかった高校生と出会い、「死を待たなければ解放されない」という現実を突きつけられた瞬間。さらに、自身の出産と子どもとの関わりを通して、ケアを語るときの立ち位置が揺れる感じまでも正直に書かれている。こういう個人的な話が混ざることで、ヤングケアラーを単なる社会問題として見るのではなく、人の生活の中にどう根を張るのかが、急に手触りを持って迫ってきます。 読んでいて感じたのは、「何が正しいケアなのか」を考える前に、そもそもケアを担う側の複雑さを、そのまま認めるところからしか始まらないということです。自分の経験をどう扱えばいいのか分からずにいる人にとっては、少し呼吸がしやすくなる本だと思います。 身近な人の世話をしてきた記憶が、今もどこかに引っかかっている人に刺さる一冊です。
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