
これだけ読めば対英米戦争は分かる
川尻奉文
この本について
戦争の本を読むとき、どう扱えばいいのか迷うことがあります。いまの自分の生活と距離がありすぎるし、感情的な意見や極端な評価に引っ張られたくない。でも、当時の判断や空気の流れを知らないまま「なんとなく分かったつもり」になっている気がする。そんなモヤモヤを抱えたまま戦前・戦中史に触れてきた方は多いと思います。 この本は、あの時代の暴走を「誰が悪かったのか」という単純化ではなく、判断の積み重ねがどう行き場を失っていったのか、そして現場で生きていた人たちはどんな葛藤や限界を抱えていたのか、かなり丁寧に追っています。読者の方が抜き出した「目的のために事実が従属させられる」「つじつま合わせの数字で結論ありき」という部分に刺さった人は、おそらく自分の生活や仕事でも似た空気を見たことがあるはずです。歴史を知るというより、「組織がなぜ間違えるのか」を実例で突きつけられる感覚が強いです。 もう一つ、この本の効き方として大きいのは、誰かを美化するでも断罪するでもなく、功罪を並べて淡々と示してくるところです。日本軍政の良い面と悪い面、本間雅晴の人物像と最期、海軍・陸軍それぞれの判断の明暗。その“割り切れなさ”に触れることで、歴史を一枚岩として扱わなくていいんだと肩の力が抜けます。白黒つけない読み方を許してくれる本でもあります。 あの時代をどう受け止めればいいか悩んできた人、また職場や組織の「空気」を前に立ち止まった経験がある人には、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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