
グリーン戦争―気候変動の国際政治 (中公新書)
上野貴弘
中央公論新社 / 2024-06-19
この本について
気候変動って、日々ニュースには出てくるのに、背景の力学までは追いきれず、結局「何が問題で、何が決め手なのか」が曖昧なままになることが多いと思います。自分も国際会議の結果だけを追っても全体像がつかめず、もやもやしたまま仕事に向き合っていました。 この本は、その霧をかなり丁寧に晴らしてくれます。たとえば、国が排出削減に本気になれない理由が、怠慢ではなく「ただ乗り」が起きやすい構造にある、という説明は目の前のニュースの見え方を変えてくれます。また、EUと米国の制度設計の違いが、理念よりも「財政負担の扱い」や「WTOルールとの衝突」といった現実的な事情で揺れている点も、政策を評価するときの視点を一段深くしてくれました。さらに、再エネや水力発電でさえ、導入の仕方を誤れば別の環境負荷を生むという指摘は、単純な善悪で語れない難しさを教えてくれます。 全体として、派手な理想論ではなく、「国際政治としての気候変動」を地に足つけて理解したい人に向いている本です。専門書ほど硬くないのに、制度の細部まで踏み込んでいるので、ニュースを見るときの解像度が確実に上がります。気候変動の話題に触れるたびに引っかかりを覚える人には、かなり手応えがあると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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