
地球と書いて〈ほし〉って読むな (文春e-book)
上坂 あゆ美
文藝春秋 / 2024-11-26
この本について
自分の記憶や価値観って、どこまでが本心で、どこまでが周りに合わせて形づくられたものなのか。ふとした拍子に迷いがぶり返して、「今の自分ってこれでいいのかな」と立ち止まってしまうこと、けっこうありますよね。誰かに褒められても素直に受け取れなかったり、昔の失敗だけやたら思い出したり。生きていく中で積もっていくこういうモヤモヤに、この本は少しだけ風を通してくれます。 『地球と書いて〈ほし〉って読むな』が効くところは、まず “自分の物語をどう扱うか” を丁寧に見せてくれるところです。著者が、祖父の認知症の話から「どの時代の自分を拠り所にするか」を考えるくだりは、過去の輝きにしがみつきたくなる気持ちも、そこから離れたい気持ちも、どちらも抱えている私たちに静かに刺さります。また、みおちゃんの眉毛のエピソードのように、誰かの小さな行動から「信念ってこういう形なんだ」と気づかされる瞬間があって、自分もどこかで人の真似をやめてみたくなる。さらに、フルーツの質問やパチンコの場面のように、日常の些細な出来事から価値観が浮かび上がる描写が多く、読んでいるうちに「自分はどう感じるんだろう」と自然と自分に戻ってくる感覚があります。 誰かに強く背中を押されたいというより、いまの自分を少しだけ整えたい人に向いている本です。特に、過去と現在の自分の折り合いをゆっくりつけたい人には、著者のまなざしがちょうどいい距離で寄り添ってくれると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
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