
文化人類学の思考法
松村圭一郎、中川理、石井美保
世界思想社 / 2019-04-30
この本について
仕事でも日常でも、つい自分の「当たり前」を基準にあれこれ判断してしまって、なんだか視野が狭くなっている気がする瞬間ってありませんか。相手の行動の理由が理解できなかったり、新しい技術や価値観にざわついたり、自分の感覚が正しいのかよく分からなくなるあの感じです。 『文化人類学の思考法』を読んでいると、そのモヤモヤに少し風が通るような感覚がありました。文化人類学って、複雑な世界をざっくり単純化するのではなく、むしろ「その複雑さごと受けとめる」ための方法をくれるんですよね。たとえば、眼鏡やスマホのように生活に溶け込んで境界が曖昧になる技術の捉え方。あるいは、貨幣や贈与のような「当然こういうものだよね」という前提が、別の社会ではまったく違う形をしているという事実。こういう視点に触れると、自分の常識をいったん横に置けるようになります。 この本が効くのは、「どうしてあの人はああするんだろう」「自分の物差しがどこまで通用するんだろう」と悩んだときです。距離を縮めて感じた違和感を手がかりにするやり方と、遠い社会を比較対象にして発想をずらすやり方。この“近さと遠さ”を行き来する思考が、自分の凝り固まった前提を静かにほどいてくれます。 自分とは違う価値観に出会うたびに疲れてしまう人や、世界の見え方を少し変えたいと思っている人には、とても相性がいい本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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