
この本について
コーポレートガバナンスって大事だよなあ、とは思いつつ、実際のところ「企業価値とか資本コストって、どう自分の仕事に関係するんだろう…」と、うっすらモヤモヤすることが多いと思います。特に、経営側でも投資家側でもない立場だと、専門用語だけが先に来て、肝心の“考え方の芯”がつかみにくいんですよね。 この本は、そのひっかかりを一つずつほどいてくれるタイプでした。例えば、ガバナンスが株主の視点だけで語られがちなのに対して、企業の視点・株主の視点・社会の視点という三層構造で整理してくれるのはありがたかったです。それぞれの視点がどこでズレるのか、利害がどう食い違うのかを丁寧に追っていくので、「エージェンシー問題」みたいな言葉が、急に生活感を帯びてくる感覚があります。また、「攻めのガバナンス」という言葉も、単なるキャッチではなく、リスクを特定し、管理し、適切にリターンを取りにいくプロセスとして描かれるので、自分の業務の意思決定にも結びつけやすいです。 さらに、ESGや人権デューデリジェンスの話が“企業の外圧”ではなく、企業価値という土台にどう接続しているのかが明確に説明されていて、表面的な議論に振り回されなくなります。資本コストやWACCといった指標も、「結局これをどう扱えば企業の現在価値とつながるのか」が実務レベルで理解できるつくりでした。 ガバナンスの話がいつも抽象的に見えてしまう人や、会社の“当たり前”の背後にある仕組みをちゃんと理解したい人には、特に刺さる一冊だと思います。
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