
夏蜜柑とソクラテス
新井 紀子
草思社 / 2025-09
累計読者数3
平均ハイライト数 36件/人
star総合評価 70/100
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この本について
日々、自分の選択が正しかったのかどうか、ふと立ち止まってしまう瞬間ってありませんか。親の期待や世間の「こうあるべき」に引っ張られつつも、自分の足で立ちたい気持ちもあって、その狭間で落ち着かなかったりします。私も同じで、だからこそ『夏蜜柑とソクラテス』のあちこちに、自分の感情の断片が貼りつくように残りました。 この本は、劇的な成功談ではなく、迷いながら進む一人の人の軌跡が淡々と書かれています。でも、その「淡々さ」が不思議と効いてきます。たとえば、親の反対を押し切って挑戦したはずなのに途中で折れてしまった自分をどう扱えばいいのかとか、社会の中で自分だけうまくはまらない感覚をどう受け止めたらいいのかとか。著者の語りは慰めるでもなく、励ましすぎるでもなく、ただ「こういうふうに迷いながら生きるのも普通なんだよ」と寄り添ってくる感じがあります。 特に、誰かに褒められた小さな出来事が人生の方向を変えたり、チョコレートパフェ一つに積み重なった年月が滲んでいたり、そういう“普通の人生のほころび”みたいな部分が丁寧に拾われているのが印象的でした。自分の歩みを急に肯定できるわけじゃないけれど、「まあ、こんな形でもいいのかも」と思える余白が生まれます。 自分のやりたいことを言葉にするのが苦手な人や、寄り道ばかりの人生にうっすら後ろめたさを持っている人には、とくに静かに刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
数学者が綴る読解と思索の旅 読解力とは「人生を味わう力」だった! 数学者が“読む人”に向けて綴った珠玉のエッセイ集 AIと教育・数学リテラシーをめぐる活動で国際的にも知られる著者が、日々の出来事や大切な思い出に寄り添いながら綴ったエッセイを収録。過去の風景、大切な人とのやりとり、なぜか今でも心に残る一瞬...それらをそっと取り出して言葉にし、その過程を通じて、「記憶とは何か」「人間とは何か」を深く洞察しています。日本エッセイスト・クラブ賞など数々の賞を受賞した著者が、数式では表せない記憶、感情、言葉の余白を表現し尽くした、まさに新境地となる1冊です。
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