
新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか (講談社現代新書)
川北省吾
講談社 / 2025-12-25
この本について
国際ニュースを見るたびに、世界の動きが複雑すぎて「結局なにが起きているのか」がつかめないまま流されてしまうことが多いと思います。ロシアや中国の強硬姿勢、アメリカの迷走ぶりも、点では理解できても線にならない。自分もずっと同じようにぼんやりした不安だけを抱えていました。 この本は、その「線が見えない感じ」をほどくのにちょうどいい距離感があります。たとえば、プーチンや習近平の行動を“異常な独裁者の暴走”として片付けず、彼らがそれぞれの国の歴史や価値観の延長線で動いていることを示してくれる。南シナ海の埋め立てやクリミア併合のような出来事が、単発の事件ではなく、失われた地位の「回復」や帝国的な発想とどうつながっているのかが腑に落ちます。また、アメリカ側の混乱も、オバマの後退や格差拡大、新自由主義の余韻といった国内事情と結びつけて見えるようになるので、「力こそ正義」が戻ってきた理由がただのスローガンで終わりません。 読んでみて思ったのは、ニュースの“断片”に振り回されないためには、各国の思考の癖や物語を知ることが案外コスパがいいということでした。自分の生活が劇的に変わるわけではないけれど、世界の見え方が何段階かクリアになる。そういう意味で、これは「世界の空気を理解したい人」に静かに効く本だと思います。 特に、国際情勢に関心はあるけど専門書までは踏み込めない…という人にはちょうどいい一冊です。
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