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ミカエルの鼓動 (文春文庫)

ミカエルの鼓動 (文春文庫)

柚月 裕子

文藝春秋 / 2024-10-09

累計読者数3
平均ハイライト数 6.3件/人
推定読了時間 約6時間58分
star総合評価 52/100
trending_up後半加速型
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この本について

日々の選択に正解があるのか分からなくなることがあります。とくに人を相手にした仕事をしていると、「あのとき別の判断をしていれば」と、過去の自分を責め続けてしまう瞬間があると思います。誰かの心情にどこまで踏み込めばいいのか、逆にどこまで距離を取るべきなのか、その線引きもいつも揺れますよね。 『ミカエルの鼓動』は、まさにその揺れの中で立ち止まる人に効く物語でした。医療を題材にしていますが、語られているのは「命の重さ」みたいな大きなテーマだけではなく、もっと小さくて現実的な、人の弱さや後悔や、誰かを失ったあとの空洞です。たとえば、“優しさと哀れみは違う”と気づく場面は、日常の人間関係にもそのまま刺さりますし、“あのときこうしていれば”という後悔は、医師でなくても誰もが抱えるものだと静かに肯定してくれます。誰かを助けながら、同時に誰かに助けられながら生きている航の言葉も、自分を責めがちな人には深く沁みるはずです。 さらに印象的なのは、登場人物たちがそれぞれ喪失を抱えながら、それでも自分の足で現実と向き合おうとしている姿です。母の最期を辿るように北海道に来た真木の行動は、感傷と希望のあいだで揺れながらも、「人は個である」という前提の上に立って誰かを想うとはどういうことかを考えさせてくれます。生存と生きることの違いについての問いかけも、今どんな状況にいる人にも一度は刺さるはずです。 大きな答えは出ないけれど、自分の中で何かが静かに整理されていく。そんな読書体験を求めている人に、この本は向いていると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ぶつかり合う二人の医師の志。命を救えるのはどちらの正義か 大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。 あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。 「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。 そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。 大学病院の暗部を暴こうとする記者が、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。 二人の医師の「志」がぶつかり合い、大学病院の闇が浮かび上がる。 命を救うための、正義とは——。 気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。 ------------ 単行本 2021年10月 文藝春秋刊 文庫版 2024年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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