
なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない(新潮文庫)
東畑開人
新潮社 / 2022-03-16
この本について
最近、人と会っていてもどこか「仕事モード」が抜けなかったり、気づけば休日まで“役に立つかどうか”で物事を判断してしまうことがあって、自分でも少し苦しいなと思うことがあります。頑張りたい気持ちは本物なのに、心の向きがうまく分からないまま毎日を進めてしまう感じです。 東畑開人さんのこの本は、そんな「どこに自分の心があるのかわからない状態」を、無理に前向きにさせるのではなく、いったんほどいてくれる本でした。読者が保存している箇所を見ると、刺さっているのは“補助線で心をわける”という発想と、“働くこと”と“愛すること”のバランスが崩れる怖さなんだと思います。たとえば、ネガティブを排除し続けてポジティブを維持しようとするしんどさや、自分の中にある葛藤をひとつずつ分割して見せてくれるくだりは、読んでいてかなり救われます。嫌いと好き、期待と失望が同時に存在していい、と言われた気がしました。 もうひとつ大きかったのは、“働くことの小舟化”の話です。自分で舵を取らなきゃいけない時代だからこそ、気づくと「愛すること」が後回しになり、全部がサバイバルになる。その構造を言語化してくれるだけで、なぜ疲れるのかが腑に落ちるんですよね。 自分の気持ちが複雑すぎて整理がつかないとき、現実にどう向き合えばいいか見えなくなっているときに特にしみる本です。「頑張れているのに、心だけが置いてけぼりになっている気がする人」に届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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