
天国への階段(上) (幻冬舎文庫)
白川道
幻冬舎 / 2003-04-01
この本について
仕事でも人間関係でも、相手の本音がどこにあるのか分からなくて、場の空気だけが先に動いていくときってありますよね。自分だけ置いていかれているような、でも何が起きているのか説明もできないあの感覚。僕もよくここでつまずきます。 白川道の『天国への階段(上)』は、そういう“見えていない力”がどう働いているのかを、物語の中でじわじわ感じさせてくれる作品でした。読者の方が抜き出していた、濃紺のスーツの男が微動だにせず仕事を進める場面や、洒落た店名の裏にあるしたたかさなど、細かいやり取りに人間の温度と計算が混ざっているんですよね。こういう瞬間を追っていくと、現実の職場でも「この人は何を守ろうとしているのか」「今の一言はどういう意味で置かれたのか」と、少し立体的に見えてくる感覚があります。 また、物語の中に出てくる“濡れ手に粟”のような言葉が自然に会話へ差し込まれていることで、登場人物たちがどんな価値観で動いているのかが浮き上がり、勢いだけで進んでいるように見える成功やトラブルにも、それぞれの必然があることを考えさせられます。派手な展開以上に、人の選択や沈黙の重さが印象に残るタイプの小説です。 表向きの態度と内側の計算、そのあいだにある生々しさを読み解くのが好きな人には、特に刺さると思います。物語として楽しみながら、人との距離感や仕事の駆け引きに少しだけ新しい視点が持てる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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