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蛇を踏む (文春文庫)

蛇を踏む (文春文庫)

川上 弘美

文藝春秋 / 1999-08-10

累計読者数3
平均ハイライト数 1件/人
推定読了時間 約1時間37分
star総合評価 35/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 63%

この本について

日常を過ごしていると、ときどき自分の感覚がズレている気がする瞬間があります。昨日までしっくりきていた考えが急に色あせたり、説明のつかない不安がふっと入りこんできたり。理由は言えないけれど、世界の輪郭がいつもと違って見える、あの感じです。 『蛇を踏む』の抜粋を読んでいると、そういう揺らぎをそのまま物語にしたような不思議さがあります。蛇が人になり、天井に戻り、コーヒーが夜に変わる。突拍子もないようでいて、私たちが現実の中でふと感じる「どこか違う」という感覚に近いんですよね。この本の効き方は派手ではないのですが、日常に潜んでいる微妙なズレを、少し安心した気持ちで見つめ直せるところにあります。自分の輪郭が曖昧になる感覚を、無理に説明しなくてもいいのだと思わせてくれますし、人と距離がうまく取れないときの“揺れ幅”も、そのまま物語の中で受け止めてもらえるような読後感があります。 「言葉にしづらい違和感がずっと胸にある人」に刺さる一冊です。物語として楽しめるだけでなく、自分の中の曖昧さを許す余白を少し広げてくれると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

藪の中で踏んでしまった蛇が女になり、わたしの部屋に棲みついた。夜うちに帰ると「あなたのお母さんよ」と料理を作り、ビールを冷やして待っている──「蛇を踏む」。うちの家族はよく消えるが、上の兄が縁組した家族はよく縮む──「消える」。背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった──「惜夜記(あたらよき)」。神話の骨太な想像力とおとぎ話のあどけない官能性を持った川上弘美の魅力を、初期作ならではの濃さで堪能できる、極上の「うそばなし」3篇。
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