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鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

佐藤正午

小学館 / 2014-11-18

累計読者数4
平均ハイライト数 3.5件/人
推定読了時間 約6時間8分
star総合評価 54/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 90%

この本について

仕事でも日常でも、何が現実で何が思い込みなのか分からなくなる瞬間ってありますよね。うまく説明できない違和感だけが残って、「あれ、さっきまでの自分は何を見ていたんだろう」と足が止まることがある。そんなときに、この『鳩の撃退法 下』の一部を読み返すと、妙に落ち着くというか、混乱そのものに居場所があるように思えてきます。 抜粋に残されていた“サンマの匂い”や“アスファルトのきめ”みたいな細部は、状況がめちゃくちゃなのに感覚だけはやけに鮮明で、読んでいる側の記憶まで引き出されます。現実の線引きが曖昧になる瞬間を丁寧に拾ってくれるので、自分の中の「説明しにくい体験」も否定されずに済む感じがあります。それに、“生きている人間としては僕のみ”のような語りの孤独さは、物語の謎というより、誰かにうまく取りこぼされてきたときの感触に近くて、読者の保存に残った理由も分かる気がします。 あと、作品全体の“世界のつじつまが合わない感じ”が、逆にこちらの思考のほぐしにもなります。物語としての解決を求めるより、自分の中の違和感との距離感をそっと調整してくれる本だと思います。日常のリアリティが揺らぐ感覚を持て余している人に刺さると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

人々の交錯が一日の物語となり浮かび上がる。 もうしばらくだ。もうしばらく待てば、偽札事件は終息する。一家三人の神隠し事件はともかく、みずから関わった騒ぎのほうは警察も裏社会の“あのひと”こと倉田健次郎も追跡を断念するだろう。追手の心配がうすれ、そう考えた津田伸一はノートに鉛筆で「二年前、夏」と文章を書き出し、しばらく平穏に過ごしていた。 ところが翌月に入って、ハンバーガーショップに姿を見せた女優倶楽部の社長からいきなり退職金を手渡され、最後通告を受ける。 「このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。おれたちというのは、床屋のまえだとおれ、それにもちろん津田さんの三人組のことだ。だけど厳密にやばいのはあんただよ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ」 あのひと倉田健次郎が散髪に現れたのか? 房州老人のあの大金は裏社会から流れてきたものなのか? 数日のあいだ身を潜め、せっせと小説の下書きをつづける津田伸一にまもなく決断の時期が訪れる。 忽然と姿を消した夫婦と娘、郵便局員の失踪、疑惑つきの大金、そして「鳩」の行方……多くのひとの人生を大きく左右する二月二十八日の交錯が、たった一日の物語となって雪の夜に浮かびあがる。
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