
鳩の撃退法 上 (小学館文庫)
佐藤正午
小学館 / 2018-01-09
累計読者数4
平均ハイライト数 6件/人
推定読了時間 約6時間22分
star総合評価 51/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 63%
この本について
仕事でも日常でも、出来事のつじつまが合わないまま時間だけが進んでいくことってありますよね。自分の中でまだ形にならない感情や、説明しきれない出来事を抱えて、それでも生活は続いていく。今回の抜粋を読んでいて、「ああ、そういう“揺れたまま”の状態をそのまま書いてくれる小説なんだな」と改めて感じました。 『鳩の撃退法 上』は、親子の会話や、ふとした比喩、思い出の中の人物像が細かく積み上がっていくのに、どこかで現実の地面がずれていくような感覚があります。たとえば、眠り続ける母の話を娘にどう伝えるか迷う父の姿や、ピーターパンをめぐる会話の噛み合わなさ。それから、人の“内がわの箱”には触れられないという比喩。どれも大げさなドラマではないのに、じわじわと心の奥で響きます。読みながら、自分の過去の会話や、言葉にできなかった感情を思い出してしまう人も多いはずです。 この本が効くのは、出来事の説明をすぐ求めてしまう自分に疲れた時や、誰かの不可解さをそのまま抱えた経験がある時です。曖昧なままでも前に進む感覚を、小説という形で受け取れる作品だと思います。特に「人の気持ちの“底”までは見えないものだよな」と日頃感じている人には、ゆっくり刺さるはずです。
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出版社による紹介
小説名人による名作中の名作ついに文庫化! 夢枕獏さん、京極夏彦さん、奥泉光さん、筒井康隆さんら選考委員から圧倒的な評価を受けた、第6回山田風太郎賞受賞作! 山田風太郎賞の受賞からおよそ2年後、著者は『月の満ち欠け』で第157回直木賞を受賞したが、関係者のあいだでは本作が直木賞でも――といった声も出ていたという。 連載に3年を要した本作は、著者本人も「墓碑銘にしたい」「思い残すことはないくらい、本当に集中して書いた」と語る、まさに渾身の作品です。 【ストーリー】 かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、とある地方都市で送迎ドライバーをして糊口をしのいでいた。 以前から親しくしていた古書店の老人の訃報が届き、形見の鞄を受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札が詰め込まれていた。 ところが、行きつけの理髪店で使った最初の一枚が偽札であったことが判明。 勤務先の社長によれば、偽札の出所を追っているのは警察ばかりでなく、一年前の雪の夜に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きる騒ぎに必ず関わる裏社会の“あのひと”も目を光らせているという。 こんな小説アリなのか! 小説表現の臨界点を超えた、まさに先が読めない展開――かつてない読書体験を約束します。存分にお愉しみください。 ※この作品は過去に単行本版として配信されていた『鳩の撃退法』 の文庫版となります。
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