
風の果て(上)
藤沢 周平
文藝春秋 / 1988-01-10
累計読者数3
平均ハイライト数 1件/人
推定読了時間 約3時間34分
star総合評価 35/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 63%
この本について
仕事をしていると、どうしても「筋はこうだけど、実際は違うよな……」みたいな場面にぶつかります。立場やしきたりが先にあって、本来の役割や実力が置き去りになるとき、自分の中に小さな苛立ちが積もっていく感じ、けっこうあると思うんです。 今回の抜粋で隼太がはっきり不満をぶつける場面を保存した人は、おそらくあの“言えなさ”に長く耐えてきたんじゃないかと感じました。相手の建前を尊重しつつも、「でも事実は違うでしょう」と踏み込む。その勇気というより、状況をまっすぐ見る姿勢が刺さったんだと思います。『風の果て(上)』は剣や忠義の物語でもありますが、それ以上に、立場と感情、筋と現実のあいだで揺れる人間の反応がすごく生々しいんです。 読んでいると、無理に強くなるというより、状況をどう受けとめて、どこで踏みとどまって、どこで押し返すかの判断が少しずつ整っていく感覚があります。誰にどう見られるかより、自分が納得できる一歩を選ぶとはこういうことなのか、と静かに腑に落ちる瞬間があるんですよね。 地位やルールの「正しさ」に振り回されがちな人に届く作品です。
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出版社による紹介
首席家老・桑山又左衛門の元に、ある日、恥知る気あらば決闘に応じよ、と書かれた果たし状が届く。差出人は数十年来の友・野瀬市之丞。妻をめとらず、婿にもいかず、ついに髪に霜を置くに至った野瀬家の“厄介叔父”だ。少年時代、片貝道場で剣の腕前を競い合い、比丘尼町の飲み屋で杯を酌み交わした。あの頃は、たがいに婿入り先すら心許ない実家の冷や飯喰いだった。しかし歳月は流れ、いまや二人の運命は大きく違ってしまった。武家小説の一大傑作!
目次
風の果て.蝉しぐれ. 解説 向井敏著
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