
トータル・リコール ディック短篇傑作選
フィリップ・K・ディック and 大森 望
累計読者数3
平均ハイライト数 4.7件/人
star総合評価 53/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 71%
この本について
最近、「なんで人間ってこんなにもめ事を繰り返すんだろう」とか、「自分の記憶や考えすら信用しきれない瞬間」が妙に増えている気がします。仕事でも日常でも、正しさを探したいのに、足元の感覚がぐらつくあの感じです。ディックを読むと、その揺れそのものがむしろ人間らしさなんじゃないか、と少しだけ思えるようになります。 『トータル・リコール』に出てくる人間観は、決めつけよりも揺らぎを前提にしていて、「破壊衝動は本能じゃない」「記憶はそもそも不確か」といった言葉が、妙に救いになります。世界が暴走しているように見えるときも、文化や社会が老いて対立が起きるときも、それを“そういう力学として起きること”と見られるだけで、感情の絡まりがほどけていく感じがあるんです。また、陰謀や不信に飲まれそうな場面でも、「証拠はあるのか」と冷静に問い直す視点が、現実の思考にもそのまま持ち込めます。 あれこれ考えすぎて疲れやすい人や、いまの社会の雑音に感情を引っ張られやすい人に刺さる一冊だと思います。SFなのに、読み終わると現実の景色が少しだけ落ち着いて見えるところが、この本の静かな効き方です。
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