
三陸海岸大津波 (文春文庫)
吉村 昭
文藝春秋 / 2004-03-10
この本について
ふだん生活していると、「この先また想定外のことが起きたら、自分はちゃんと動けるんだろうか」と、ぼんやりした不安がつきまといます。備えろと言われても、何をどう判断すればいいのかは案外わからないままです。 『三陸海岸大津波』を読むと、その迷いに少しだけ輪郭が出てきます。読者が保存していた抜粋には、逃走した囚人が逮捕される混乱の場面、津波の速度が秒速160メートルに達したという記録、晴天でも容赦なく押し寄せる現象の描写など、具体的で生々しい事実が多く含まれていました。こうした細部に触れることで、「災害時に人はどう動き、何を誤り、何が命を分けるのか」が曖昧なイメージではなく、現実の出来事として立ち上がってきます。 この本が効くのは、歴史を知識として消費するためではなく、過去の“実際の行動”を積み重ねていくと、今の自分の判断基準が少しずつ変わっていくところです。海水が一気に引いた瞬間の混乱や、警報が出ないまま津波に襲われた自治体の判断の遅れなど、後から俯瞰すればわかることでも、現場では迷いが連続していたことが描かれています。そこに触れると、「非常時に冷静でいよう」なんて単純な話ではなく、日常のうちに“どこに違和感を覚えたら動くか”を決めておく必要があるんだと実感します。 淡々と読めるのに、読み終わると自分の生活や仕事の場面にも自然と置き換えて考えてしまう本です。じぶんの判断の根拠をもう少し強くしたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
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