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関東大震災 (文春文庫)

関東大震災 (文春文庫)

吉村 昭

累計読者数9
平均ハイライト数 31.7件/人
推定読了時間 約7時間24分
star総合評価 72/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 40%

この本について

最近、人の集団心理に巻き込まれそうになる時があります。事実がよく見えなくなったり、誰かが言った「らしい」に気持ちを持っていかれたり。頭では距離を置きたいと思っても、災害や混乱の場面になると、自分も同じように流されてしまうんじゃないか…そんな不安がふと出てきます。 吉村昭『関東大震災』を読んでいると、そのモヤモヤが少し具体的に形を持ちます。抜粋にもあるように、根拠のない流言が一気に膨らみ、軍や官憲までもが「事実」として扱い、庶民が暴走していく。その背景には、当時の日本が朝鮮に対して抱えていた負い目や緊張感が静かに横たわっていて、そこに地震という極限状況が重なった。こういう流れを追うことで、「人はなぜこんな行動に至ってしまうのか」という問いが抽象論ではなく、具体的な場面として迫ってきます。 もう一つ、自分の中で響いたのは、当時の人々が連続する地震や火災で判断力を失っていく描写です。戸口に赤ん坊を置いて逃げたり、池に飛びこむ人が続いたり、貼紙ひとつで混乱が加速したり。これを読むと、私たちが「平常時の自分」を基準に他人を責めるのは本当に難しいのだと気づかされます。むしろ、いつ自分が同じように冷静さを失う側に回るのか、その可能性を受け入れるための材料になるというか。 歴史の大事件を知るための本というよりも、「集団の中の自分」を考えたい人に静かに効いてくる本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

1923年9月1日に発生した巨大地震により、関東の1府6県は地震・津波の被害を受け、首都東京、横浜は火災によって壊滅状態となった。死者・行方不明者は10万5000人を超え、東京の下町のほとんどが焼失、焔の中を人々は逃げまどった。88年を経て各県の公文書館などで公開されはじめた大量の震災資料をひもとくと、被災者がどこへ動き、救援のマンパワーはなにを提供し、行政がどう応えようとしたかがみえてくる。避難・救援・生活再建、義捐金の配分、政府閣僚の復興構想とそれへの反論など、当時の様相を膨大な資料から掘り起こし、大災害から立ち上がる人々の実像を描き出す。
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