
核DNA解析でたどる 日本人の源流
斎藤成也
河出書房新社 / 2017-10-24
この本について
自分が「どこから来たのか」を考え始めると、途端に霧が出るような感じがしませんか。学校で習った話と、ニュースで見る遺伝子研究の話がつながらないまま、大人になってしまったようなあの感じです。歴史ってけっこう“思い込み”で覚えていたんだな、と僕も何度かショックを受けました。 この本は、その霧を一気に晴らすというより、ゆっくり輪郭を出してくれるタイプです。縄文と弥生を二分して覚えていた自分に対して、「実は混ざり方が地域ごとに全然違う」とか、「耳垢の型やミトコンドリアDNAみたいな身近な体の特徴が、意外と長い時間の積み重ねを語ってくれる」とか、細部から視点をひっくり返してくれるんですよね。特に、祖先のDNAが“ひとり”ではなく“1024人分の少しずつの寄せ集め”だと示されるあたりは、系図のイメージががらっと変わります。 そして面白いのは、日本列島そのものが南北に長いせいで、地域ごとに混ざり方も時期もぜんぜん違ったという事実です。北海道の縄文系の強さも、沖縄の人々が持っている系統の独自性も、教科書ではほぼ触れなかった部分。ここが立体的に見えてくると、「日本人とは何か」を単純化して語ること自体が無理筋なんだなと、変に力が抜けます。 系統やDNAというと専門的に聞こえますが、「自分の体にも歴史が残っている」という実感を持ちたい人にはとても刺さる一冊です。生まれた場所やルーツについて、少し立ち止まって考えてみたいときに静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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