
羆嵐(新潮文庫)
吉村昭
新潮社 / 1982-11-25
累計読者数9
平均ハイライト数 1.9件/人
推定読了時間 約2時間32分
star総合評価 40/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 25%
この本について
仕事でも人間関係でも、自分ではどうしようもない「不条理」にぶつかることがあって、そこで気持ちがざわつくことがあります。理屈では整理できないのに、心だけが置き去りになる感じというか。そんなときに『羆嵐』を読むと、ほんの少しだけ視界が変わることがありました。 この本には、人より強い存在にねじ伏せられてしまう生々しさが描かれています。穴を見つけられず雪中を彷徨う羆のくだりに、行き場をなくして荒れてしまう心のありようを重ねる人もいると思いますし、銀四郎が酒に逃げる場面には、弱さの裏にある痛みがそのまま出ています。人は追い詰められるとこうなる、という描写が静かに響きます。また、弱い者同士が寄り添うことでかろうじて正気を保とうとする姿には、私たちが「誰かと一緒にいることで何とか持ちこたえている瞬間」を思い出させられます。 大げさに人生が変わるような本ではありませんが、過度に前向きな言葉に疲れたとき、不安や恐れをそのままの形で見つめ直す手がかりになります。理不尽さの中でも、どうにか日常を続けていく感覚を確かめたい人に刺さると思います。
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出版社による紹介
北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現! 日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。
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