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漂流(新潮文庫)

漂流(新潮文庫)

吉村昭

新潮社 / 1980-11-27

累計読者数7
平均ハイライト数 1.9件/人
推定読了時間 約5時間1分
star総合評価 36/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 28%

この本について

仕事でも生活でも、自分の力ではどうにもならない状況に放り込まれたとき、気持ちが急にしぼむ瞬間があります。頑張れば何とかなる、と自分を励ましてきた分だけ、どうしようもない現実にぶつかると立ち位置を見失う。そんなときに、吉村昭の『漂流』を読むと、少しだけ視点が変わります。 嵐の中で船がきしみ、飲み水が流され、祈る以外に手立てがない場面を読むと、「人ができることって意外と限られている」という当たり前が、妙に腹に落ちます。長平たちは英雄的でもないし、完璧でもありません。冷たい海水を浴びながら、ただ桶で水をかき出し、生き延びるための最低限の判断を積み重ねていくだけ。そこに妙な潔さがあって、無理に前向きにならなくていいんだな、と思わされました。 さらに、飢饉の中で凧をあげる人を見て「行事への強い執着」を感じる場面や、念仏だけを唱えて生きようとする決意には、生々しい弱さと、それでも続いていく生活の輪郭があります。状況が過酷だからこそ、人がどんなふうに自分を保とうとするのかが静かに立ち上がってくる。 自分のコントロールを越えた状況で心が揺れやすい人に、そっと効く一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説。
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