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高熱隧道(新潮文庫)

高熱隧道(新潮文庫)

吉村昭

新潮社 / 1975-07-29

累計読者数5
平均ハイライト数 11.8件/人
推定読了時間 約2時間31分
star総合評価 48/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 20%

この本について

仕事で判断を迫られる場面が続くと、何が正しいのか分からなくなって、視野も感情もどんどん固まっていく感じがありませんか。誰かの決断の裏側にある“現実”を知らないまま進んでいる気がして、不安だけが積もるというか。僕もそういう時期に手に取ったのが『高熱隧道』でした。 この本は、ただの「過酷な工事の物語」ではなくて、極限状態に置かれた人間の行動や感情が、そのままむき出しで描かれています。読者が保存した箇所を見ると、刺さっているのは単なる悲惨さではなく、判断する側の葛藤や、作業員たちが命の危険を前提に積み上げていく日常のディテールなんですよね。ボッカが重さをごまかす小さな穴、冷水四度の川に落ちた瞬間に心臓が止まる仕組み、爆風が山を越えていく現実、遺体を組み合わせて誰かを特定していく手つき。こういう具体の積み重ねが、判断の重さそのものを教えてくれます。 僕にとって特に効いたのは、誰もが職務をこなしながらも「死を見慣れてしまう」状態に耐えているという描写でした。割り切りながら、それでもどこか麻痺していく。責任を負う側も、作業を担う側も、同じように揺れている。それを知るだけで、自分の迷いや弱さが少し“人間として当たり前”に思えてくるんです。 静かに背中を押してくれる本ではありませんが、現場で働く人たちの「どうしようもなさ」と「それでも続ける理由」を受け止められる人には深く刺さると思います。作業の現実や判断の重さから目をそらしたくない時に、そっと効いてくる一冊でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。
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