
高熱隧道(新潮文庫)
吉村昭
新潮社 / 1975-07-29
この本について
仕事で判断を迫られる場面が続くと、何が正しいのか分からなくなって、視野も感情もどんどん固まっていく感じがありませんか。誰かの決断の裏側にある“現実”を知らないまま進んでいる気がして、不安だけが積もるというか。僕もそういう時期に手に取ったのが『高熱隧道』でした。 この本は、ただの「過酷な工事の物語」ではなくて、極限状態に置かれた人間の行動や感情が、そのままむき出しで描かれています。読者が保存した箇所を見ると、刺さっているのは単なる悲惨さではなく、判断する側の葛藤や、作業員たちが命の危険を前提に積み上げていく日常のディテールなんですよね。ボッカが重さをごまかす小さな穴、冷水四度の川に落ちた瞬間に心臓が止まる仕組み、爆風が山を越えていく現実、遺体を組み合わせて誰かを特定していく手つき。こういう具体の積み重ねが、判断の重さそのものを教えてくれます。 僕にとって特に効いたのは、誰もが職務をこなしながらも「死を見慣れてしまう」状態に耐えているという描写でした。割り切りながら、それでもどこか麻痺していく。責任を負う側も、作業を担う側も、同じように揺れている。それを知るだけで、自分の迷いや弱さが少し“人間として当たり前”に思えてくるんです。 静かに背中を押してくれる本ではありませんが、現場で働く人たちの「どうしようもなさ」と「それでも続ける理由」を受け止められる人には深く刺さると思います。作業の現実や判断の重さから目をそらしたくない時に、そっと効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要









