
「頑張れない」子をどう導くか ――社会につながる学びのための見通し、目的、使命感 (ちくま新書)
宮口幸治 and 田中繁富
この本について
子どもの勉強や行動に向き合っていると、「なんであの子はあんなに簡単なことでつまずくんだろう」「どう声をかければ少しは前に進めるんだろう」と、こちらまで見通しを失う瞬間があると思います。叱りたいわけじゃないのに、つい焦りの言葉が出てしまうあの感じ、僕もよくあります。 この本が静かに効いてくるのは、子どもの努力を引き出すより先に“安心して進める地図を一緒に描く”という視点を置いているところです。たとえば、つい「ほんとに?」と疑ってしまいがちな場面で、まずは子どもの言葉をそのまま返すだけで安心感が生まれること。難しい問題に立ち向かわせるより、「できた」と言える小さな体験を積ませるほうが、次の一歩につながること。努力や根性の話ではなく、行動につながる順番を大人側が整えるというイメージに近いです。 読んでいて、自分が無意識に子どもの見通しを奪っていた場面がいくつも思い当たりました。結果を責めたり、先回りして正論を言ったりするより、一緒にルールを考えたり、「次からどうする?」を対話として扱ったりするほうがずっと健全なんですよね。子どもの不安の背景まで丁寧に拾っていくと、やっと“前に進む理由”が自分ごととして芽生えていく。その流れが具体的に描かれています。 子どもが「頑張れない」ように見えるとき、実は大人の側も同じだけ迷っているはずです。そんなときに寄り添ってくれる一冊だと思います。子どもの行動の裏側を、もう少し現実的に理解したい人に刺さる本です。
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