
タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か? (文庫ぎんが堂)
戸部田誠(てれびのスキマ)
イースト・プレス / 2022-02-08
この本について
最近、「ちゃんとしてないといけない」とか「将来のために何か積み上げないといけない」とか、漠然とした焦りに追いかけられる瞬間が増えている気がします。目標を立てても重くなるだけで、かといって行き当たりばったりだと不安になる。この中間がなかなか見つからないまま、毎日だけが進んでいく感じがあります。 『タモリ学』を読んでいると、その窮屈さが少しゆるむんですよね。タモリさんの「これはこれでいいのだ」という姿勢は、何かを諦めるというより、目の前の出来事を一段軽く受け取るための技術に近い。例えば、場の空気が乱れても微笑んで受け止めてしまう余裕だったり、頑張ることを前提にしないからこそ見える“周辺”のおもしろさだったり。そういう視点の転換が、読んでいる側にもじわっと伝染してくる感覚があります。 そして何より刺さるのは、タモリさんが「未来の自分」にも「過去の自分」にも過度に期待しないところ。だからこそ、今ここで起きていることをちゃんと味わえる。無理に夢や計画を掲げなくても、気配をつかめる瞬間があればそれで十分なんじゃないか、と思わせてくれる。この“肩の力の抜き方”が、読み物としてすごく救いになるんです。 行き急いでしまう人よりも、「こんなペースで本当にいいのかな」と立ち止まってしまう人ほど刺さる本だと思います。私自身、焦りの温度がちょっと下がった一冊でした。
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