
ポーツマスの旗(新潮文庫)
吉村昭
新潮社 / 1983-05-25
累計読者数4
平均ハイライト数 6件/人
推定読了時間 約4時間11分
star総合評価 48/100
trending_up後半加速型
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この本について
仕事でも人生でも、「正解のない交渉」みたいな場面に放り込まれることがありますよね。相手の出方も読めず、こちらの条件をどこまで見せるべきか迷って、結局どっちつかずになる。私もよく同じところで立ち止まります。 『ポーツマスの旗』を読むと、そんな迷いに少しだけ風が通る感覚がありました。小村寿太郎がロシアのウイッテと向き合う姿は、勇ましい英雄像ではなく、状況を読み、失敗のリスクを考え、それでも最善の一手を選びつづける人間として描かれます。条件を一条ずつ分けて交渉するといった工夫や、議事録に毎回署名する仕組みを入れる慎重さは、自分にも置き換えやすいリアルさでした。それに、世界の思惑が渦巻くなかで「誠実さを貫く」という小村の結論は、きれいごとではなく、歴史の浅い国として他に使える手札がほとんどないという冷静な判断が土台にあるからこそ重く響きます。 また、国旗の成り立ちや樺太・千島の歴史的経緯など、背景事情が淡々と積み上げられていくことで、外交の一手がどれだけ長い歴史と結びついているかが自然と見えてきます。日常の小さな判断でも、実はこうした積み重ねが影響しているのかもしれないと思わされる瞬間がありました。 腹の底で「どう動けばいいのか決めきれない」と感じている人ほど刺さる本だと思います。
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出版社による紹介
日本の命運を賭けた日露戦争。旅順攻略、日本海海戦の勝利に沸く国民の期待を肩に、外相・小村寿太郎は全権として、ポーツマス講和会議に臨んだ。ロシア側との緊迫した駆け引きの末の劇的な講和成立。しかし、樺太北部と賠償金の放棄は国民の憤激を呼び、大暴動へと発展する――。近代日本の分水嶺・日露戦争に光をあて交渉妥結に生命を燃焼させた小村寿太郎の姿を浮き彫りにする力作。
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